アオアシというサッカー漫画がある。
中学校まで部活のサッカーをしてきた、主人公の青井葦人が、Jリーグのクラブユースの監督と偶然出会い、持っている才能を開花させるべく、クラブユースのセレクションを受け、高校進学と同時にクラブユースに所属し、プロのサッカー選手を目指して、切磋琢磨する物語だ。
国営放送でアニメ化もされた物語なので、知っている方も多いと思う。
アオアシで描かれているのは、主人公の成長を中心としたサッカーの技術、戦術がメインテーマだが、選手の育成についても、詳細な描写がある。
日本でプロのサッカー選手を目指す場合、大きく分けて、2つのルートがある。
1つは、Jリーグのクラブユースに所属して、そこからトップ昇格を目指すパターン。
これは、アオアシに描かれている事が大分的を射ていて、現在、日本代表で活躍している選手の大部分は、どこかのクラブユース出身である事が多い。
多分、プロのサッカー選手になる、最短ルートだろう。
子供をプロサッカー選手にさせたい親が協力的な場合は、受かったクラブユースの土地に、家族ごと転居するケースもあるそうだ。
もう1つは、高校、大学の部活動に所属し、大会で結果を出し、卒業時、Jリーグのクラブにスカウトしてもらうパターン。
高校、大学の強豪校は、クラブユースで内部昇格できなかった人材の受け皿になっている側面もあり、〇〇大学からJリーグのクラブに内定が出た場合でも、経歴を調べると、実は、クラブユースに所属していた、という事も多々ある。
最近では、どこのクラブユースにも所属せずに学校の部活動だけで日本代表まで登り詰める選手は、かなりのレアケースになると思う。
日本の2パターンの方式が良い、悪い、と言っている訳ではなく、いい意味でダブルスタンダードになっている、という事実がある。
これが、ヨーロッパの場合だと、クラブユースで内部昇格できなった人材は、そこからサッカーを諦め、別の職業を得るために、自身で試行錯誤する必要が出てくる。
日本の場合は、18歳でJリーグにデビューできなくとも、大学の部活動に参加する事で、大学で専門知識を学びつつ、部活動でサッカーを継続し、4年後の22歳の時に、再度、プロ選手としてJリーグに所属できる可能性が残る。
例えば久保建英選手のような、素人が見ても圧倒的なスキルがある選手が、大学進学のためにプロ選手になる期間を遅れさせる事は、才能の無駄遣いと分かる。
しかし、敗者復活という意味でも、日本の方式は、そこまで悪くないのではないか、と個人的には思う。
ちなみにアオアシは、マンガワンというスマートフォンアプリで、1日1話限定だが、かなりの分量を読む事ができる。
選手の育成の面からも、サッカーそのものの魅力という点からも、お勧めの作品であるので、気になる方は、一度、試し読みされる事をお勧めする。
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