個人的には、イングランド プレミアリーグ、スペイン ラ・リーガ、イタリア セリエA、ドイツ ブンデスリーガ、フランス リーグ1の欧州5大リーグの中では、ラ・リーガがお気に入りだ。
その中でも「ティキ・タカ」と表現される、パスワークがモットーのバルセロナが好きだ。
一見、無駄なパス回しのように見えて、ちゃんと意味がある、肉体的な強さはなくとも、技術を磨けば欧州でも試合は成立し、しかも勝てる、ということを体現してくれるクラブだ。
クラブの首脳陣のゴタゴタで常に安定した成績を収めている訳ではないが、クラブ理念を理解した元選手が監督に就任したときなど、本当に無類の強さを発揮する。
このクラブの理念の根底を作ったのが、「空飛ぶオランダ人」と呼ばれた、オランダ出身の名選手、ヨハン・クライフだ。
彼は、攻防一体のトータルフットボールの概念を、そのクラブの選手として活躍していた頃から体現し、クラブに定着させ、選手を引退後、そのクラブの監督になった時、その概念に更に磨きをかけていった。
選手、監督としても超一流だったが、茶目っ気のある性格で、愛煙家だった彼が監督の時、試合中のベンチでの禁煙が義務化された時、口寂しさから有名な棒のついた飴を頬張ってクラブの指揮をしたところ、その場面が全世界に放映され、世界のサッカーファンがその飴を買い求めたため、その飴が爆発的にヒットし、一時的に品薄状態になったそうだ。
また、戦術的な茶目っ気と言えば、監督として指揮をしていた当時、戦術としてはゾーンプレスが流行していたが、その監督は、両サイドに技術のあるDF(ディフェンダー)を、それぞれタッチラインギリギに配置し、ディフェンスラインでボールを動かし、相手に奪われないことで、プレス自体を無効化させてしまった。
なぜなら、ボール保持者にプレスをかけに行った敵の選手は、ボール保持者に躱されるか、逆サイドにボールを展開されるかで、ボールを奪うことができず、無駄走りをさせられてしまうからだ。
まさに、コロンブスの卵的な発送だ。確か、この監督は、このことを「ボールは汗をかかない」と表現していたように思う。
2010年のサッカー南アフリカ サッカーワールドカップでスペイン代表が優勝しているが、その時の中心メンバーもこのクラブの選手だった。
スペイン代表、日本代表の体格のサイズ感を比較した時に、ほぼ平均サイズが一緒だったため、サッカー日本代表もスペイン代表を見習って、パスで崩すサッカーを目指すべきだ、との世論も多くあった。
アジアの中では、日本代表のスタイルを「ティキ・タカ」に準えて、「スシ・タカ」と呼んでいた国もあった。
個人的には日本代表のスペイン化には賛成だが、現在のトレンドである、ショートカウンターが主流になってから、「スシ・タカ」はすっかり影を潜めた。
サッカー日本代表には、背骨のような、日本人にあった、何らかのスタイルを確立してもらいたいと願うばかりである。
一時期、サッカー日本代表監督に就いていて、病に倒れ、監督を辞任した東欧の名将である、イビチャ・オシムの言葉を借りれば、「サッカー日本代表の日本人化」と言うことだろう。
この東欧の名将は、現役時代、FWとして活躍し、学校の授業では数学が得意だったと聞いている。
東欧の名将の言う一言一言には、数学的と言うよりは、哲学的な含蓄があったと、私は感じている。
その東欧の名将は、Jリーグのクラブで指揮を取り、そこで結果を出したことで、サッカー日本代表の監督に就任したのだが、練習が非常に個性的だった。
この東欧の名将のサッカー観の根底には、「サッカーは走るスポーツ」と見なしている部分があることは、素人目にも分かった。
ただ、走る、と言ったときに、多くの日本人が想像するような、長い距離を延々と走る、走り込み、の概念は、この名将にはなかった。
練習では4色のビブスを使い、色ごとの決まり事を作り、常に頭を使いながら、ピッチ上でプレーすることを選手に求めた。
練習時間は標準的だが、この名将の練習を行うと、選手は頭と体が想像以上に疲弊するらしい。
この東欧の名将が病に倒れず、より密接にサッカー日本代表に関わっていたら、「サッカー日本代表の日本人化」がより具現化されていたように、私は思う。
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