マリアビートル

 題名は、伊坂さんの殺し屋シリーズの第2弾の小説だ。

 あらすじとしては、運の悪い殺し屋である「七尾」が、盛岡行きの東北新幹線に乗り、「誰でもできる簡単な仕事」をこなすはずだったのが、持ち前の運の悪さを発揮し、全く関係のない事件に巻き込まれていく、という話だ。

 新幹線、という、到着駅以外では、半密室となる空間で、登場人物は、ある者は自分の利益のため、ある者は自分の命を守るため、様々な駆け引きを行っていく。

 伊坂さんならではの、緻密に計算された、クライム・サスペンス小説だ。

 伊坂さんの描く小説では、登場人物のキャラが立っている事が多いが、私は、この七尾という殺し屋が、意外と気に入っている。

 七尾は本名で、殺し屋界隈の通り名は別にあるのだが、何かにつけて不運を引き寄せ、自分の運の無さに自暴自棄になる描写は、嫌いではない。

 また、自暴自棄になりながらも、困難な局面を何とかしていこうとする七尾の行動力は、読んでいて、非常に頼もしく感じる。

 七尾の他にも、癖が強い登場人物が引き起こす事件は、400ページを超える大作とは思えないくらい、スリリングな展開で、一気読みできる小説である。

 2022年にブラット・ピット主演で映画化されたらしいが、映画化でかなりリメイクされた模様で、私は、映画の方は、まだ観ていない。

 もうすぐお盆の季節で、帰省や旅行で新幹線に乗る機会がある方は、旅のお供にとしてお勧めできるかも知れない。

 読了後、嫌な気持ちになっても、そこは自己責任でお願いする。

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