マルコムX、本名をマルコム・リトルという。
彼は、リトルという姓は、祖先が奴隷として、アフリカから連れてこられた時、白人が勝手につけた姓で、自分の姓は分からない、ということで、姓の部分をXとした、と自伝に書かれている。
マルコムXは、1960年代の黒人解放運動に携わった人間である。
同時期に、キング牧師も、同じ運動で活躍している。
ただし、キング牧師が黒人解放運動のアイコン的な存在として今でも語られるのに対し、マルコムXは、1990年代、自伝が出版されたり、その自伝が映画化されるまで、広く一般的に知られた存在ではなかった。
理由は、マルコムXの黒人解放運動が、主に、暴力に訴えるものであり、所属する団体が、敵対する団体を、襲撃や暗殺で亡き者にする事が多かったためだ。
今で言う過激派のような事にマルコムXが加担するようになったのは、彼が生まれてから成長するまでに体験した、差別と暴力に寄る所が大きい。
マルコムXの自伝が発売された当時、それなりに鬱屈した高校生活を送っていた私は、この本を手に取り、移動中、食い入るように読んでいたのを憶えている。
その当時は、単純に、「差別は駄目。」という、短絡的な回答にしか至らなかったが、社会人として生活するにつれて、貧困、格差の起因は何なのか、考えずにはいられなくなっている。
マルコムXの死後から約60年が経過し、彼の国では、また、自国優先主義を唱える人間が大統領になるようだ。
マルコムXが生きていたら、すごいしかめっ面をするに違いない。
マルコムXは、決して長くはない人生を歩んでいるが、彼が、何を思い、何に感銘を受け、活動家として暴力に手を染め、最終的には、人間として、どのように成長していくのか、本書には、包み隠さず記載されている。
また、映画化された時は、デンゼル・ワシントンが主役としてマルコムXを演じ、本人と間違うばかりの演技をしている。
映像で追いたい方は、一度、マルコムXの映画を見ることをお勧めする。
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