八月の御所グラウンド

 題名は、万城目 学氏の、直木賞受賞作品だ。

 以降、万城目 学氏を、万城目さん、と呼ぶ。

 万城目さんは、主に、エンターテイメント性の高い長編小説を書く小説家だ。

 私が万城目さんを知ったのは、ある著書が映像化された後だったので、大分後発組であるが、一度、著書を手にとって読んでみて、万城目ワールドが好きになった。

 そこから、振り返るようにして万城目さんの作品を読んでいる。

 万城目さんの小説は、どちらかと言うと、奇抜な設定が物を言う作品と思われる。

 変な呪文が出てきたり、変な動物が出てきたり。

 その奇妙な設定が、私の好きな所だったりもする。

 さて、今回の作品は、2作の連作になっている。

 最初の話が、高校の女子駅伝の話、次の話が、草野球の話、である。

 どちらも、万城目さんの奇妙な感じが、十分表現されているが、奇妙な感じだけに振れるのではなく、物語の整合性として、絶妙なバランスが取られている。

 登場人物に中国の留学生が出てきたり、最近の国際化の波にもしっかり乗っている。

 直木賞受賞時の万城目さんのインタビューで驚いたが、万城目さんは、山本周五郎賞や、その他の文学賞とは無縁の生活を送っていたらしい。

 これだけ多作で、内容もしっかりしているのだから、何かしらの賞を受賞しているだろう、と私は勝手に思っていたが、予想が外れた。

 冬の寒い時期に、真夏の草野球の話を読むのも、乙なもの。

 気になった方は、手にとってみては、如何だろうか。

 

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