女郎婦の理

 題名は、京極さんの百鬼夜行シリーズの第5作にあたる小説だ。

 百鬼夜行シリーズで、自分の本意とは関わらず、事件を解決した、または、憑き物を落とした中禅寺秋彦、通称、京極堂は、また、今回も事件に巻き込まれる。

 今回の舞台は、女系一族と、その四女が通う、女学校だ。

 女系一族の長が、母親で、そこに長女から四女まで、4人の女性が登場する。

 ただ、全ての女性が、曲者揃いだ。

 小説の本筋とは離れるが、その4人のバックグラウンドを読み込むだけでも、かなりの勉強になる。

 特に三女が掲げる、男女平等社会に関しては、昨今、ジェンダー分野で先進国でダントツの最下位を進む我が国の中年以上の男性には、耳の痛い話であろう。

 この小説が発表されたのが、約30年前の1996年である。

 その時点で、男女平等に関する見解を示していた京極さんの先見の明には、頭が下がるばかりである。

 男女平等というテーマだけではなく、大風呂敷を広げると、女性とは何かを考えるには、うってつけの本であると思う。

 もちろん、謎解きの推理小説としても、非常に面白い。

 縦糸と横糸に絡まった謎がきれいに解けていく様は、読んでいて非常に面白い。

 興味のある方は、是非、一度、手にとって欲しい。

 

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