武術は物理学?

 先日、NHKで放送されている、明鏡止水 武の五輪 拳の回を観た。

 この番組は、実際にいろいろな武術を習得している岡田氏と格闘技好きのケンドーコバヤシ氏がMCとなり、武術に関して、深堀する番組だ。

 個人的には、ケンコバさんのファンのため、何かの番宣を観て、視聴し始めた。

 今回の回は、拳を使うスポーツ、武術である、ボクシング、琉球空手、内動武術の方が出演され、それぞれの武術について、深く語られていた。

 スポーツ好きの私は、番組を通して非常に興味深く拝見したが、特に、琉球空手の師範代の方の自身の技の解説が、心の琴線に触れた。

 氏曰く、体の重心は一所に収まっているのではなく、頭の重心、腕の重心、上半身の重心といった形で分割さえており、その重心の方向をうまく操る事で、拳の速さと重さを出しているとの事。

 翻って、私は、学生時代、ロボットの研究をしていた事がある。

 私の専門は制御工学という分野で、ロボットの動作をいかに効率良く制御するべきか、という研究を行っていた。

 ロボットの動作を制御するための方程式を定義する際、ロボットの中心に重心があるように物理法則に従った方程式を作っても、ロボットの制御はシミュレーション上で上手くいかず、結局、ロボットを構成する部位ごとに方程式を立て直し、シミュレーション上でロボットの動作の制御に成功した経験がある。

 まさしく、琉球空手の師範代が話していた内容である。

 格闘技と物理学、一見、真逆と思われる分野の内容でも、突き詰めると、見解が一致する場合がある。

 片方は体をひたすら鍛え、片方は一日の大半を頭脳労働に費やし、同じ結論に至る。

 一見複雑に思われる事象も、突き詰めると、意外と根幹の部分は、一緒の場合がある、ということをこの結果は示している。

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