海辺のカフカ

 夏も本格化してきて、蒸し暑い毎日。

 個人的には、夏が苦手で、秋や冬が好きなので、早くこの季節が過ぎ去ってくれないか、毎日、繰り返し思っている。

 ただ、大学に入って、1年目、2年目の夏休みは、特別やる事もなく、モラトリアムに過ごしていたので、夏の暑い時期にも、本を読んで過ごしていたのを、ふと、思い出した。

 その中でもよく読み返していたのが、村上春樹氏の海辺のカフカだ。

 以降、村上春樹氏を村上さん、と呼ぶ。

 私が村上さんの小説を読むようになったのは、時期が遅く、20歳を過ぎてからだったと思う。

 理由は、今でも好きなアーティスト、スガシカオさんが愛読している、と当時のブログで情報を得たからだ。

 当然、村上さんの小説は、時に社会現象を起こしていたので、村上さんの名前は知っていたが、本格的に小説を手に取るまでは至らなかった。

 しかし、文学的な詩を紡ぎ出すスガさんが敬愛している小説家は、どんな方だろうと思って、手に取ったのが始まりだ。

 結果、村上さんの著作は、だいたい読み終わるぐらいには、ファンになってしまった。

 中でもお気に入りなのが、海辺のカフカと、ねじまき鳥クロニクルだ。

 基本的に、村上さんの小説の本質は、上手く言葉で表現できない事を、分解して表現するのではなく、上手く表現できない形態のまま内包し表現する事だと、勝手に思っている。

 海辺のカフカでも、やはり世の中の一般常識では起きそうもない事が並行して発生している。

 そこを解説せず、そのままの形で内包し、物語としてまとめ上げるのが、村上さんの素晴らしさだと、個人的には思っている。

 また手に取っていない方は、夏の寝苦しい夜、主人公の少年が体験する不思議な出来事を追従する手段として、一読されるもの悪くない選択だと思う。

 村上さんとスガさんの関係などは、また別の機会に。

 

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