2022年サッカーワールドカップ カタール大会 アジア最終予選で、サッカー日本代表は、残り1試合を残した段階で、対戦相手に勝利し、本戦出場を手繰り寄せた。
この時、サッカー日本代表として戦った選手の中で、Jリーグの川崎フロンターレに縁のある選手が、交代枠を含めて、6名程、出場していたと記憶している。
普段一緒にプレーをしている、またはしたことのある選手と試合で組むことは、好きなボールのもらい方、動き出しの癖など、を既に両者が知っているので、日本代表の合宿で合わせる急造のコンビプレーよりも、より強力なプレーとなって、日本代表の試合に還元される。
川崎フロンターレは、昔はJリーグの中堅クラスの実力で、可もなく不可もなく、といったクラブであった。
2010年代に入り、監督が風間八宏に代わったことにより、クラブが劇的に強豪へ生まれ変わった。
風間は、その年齢にしては珍しく、ドイツ ブンデスリーガでのプレー経験があったようだが、「止める」、「蹴る」、「運ぶ」を細分化し、言語化した上で、クラブの選手に徹底させた。
曲がりなりにもサッカーが上手い人が集まるプロのクラブである、最初は選手達も驚いたらしい。
しかし、普段無意識になんとなくやっている「止める」と、言語化された「止める」では、意味が違ってくる。
風間が一般者の練習向けに書いた本を立ち読みしたことがあるが、その概念の多さに、圧倒された記憶がある。
また、子供の頃にこういう本があれば、私ももっとサッカーがうまくなっただろうに、と思った。
基礎プレーの概念の再構築に成功したそのクラブは、決戦に勝ちきれず、シルバーコレクターと揶揄される時期を乗り越え、現在、常勝軍団となり、Jリーグを席巻している。
2022シーズンは、前半の連敗が響き、Jリーグ優勝は難しい局面だが、やはり他クラブとの違いをプレーの端々で見せつけている。
このクラブから、海外のクラブへ旅立った選手も多い。
風間は、オシムとは別のやり方で、「サッカー日本代表の日本人化」を行っているように、私には思えた。
風間は、Jリーグのクラブを数クラブ指揮した後、セレッソ大阪で興味深い実験を行っていた。
その当時の風間の肩書は、技術委員長らしい。
さまざまなカテゴリで技術を教えているのであろうが、そのトップクラスの集団は、年齢、性別、身体的特徴、といったものが一切関係ない。ただただ技術に秀でた選手を集め、自らが言語化した技術を選手に落とし込んでいた。
セレッソ大阪は、育成に定評のあるチームだが、数年後、風間の薫陶を受けた選手が、Jリーグや海外クラブで活躍し、日本代表入りしてこないかと、私は、密かに期待している。
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