題名の新書を、この前読んだ。
結構、身につまされる話が多かった。
この本は、NPO法人で働く著者が、実際に関わった案件で、特に興味深かった案件を
カテゴリーごとにまとめている。
大学院の博士課程まで進んだが、博士論文が書けずに中退し、路頭に迷う者。
法科大学院に進んだが、司法試験に合格できず、人生を彷徨う者。
結構、ショッキングな事例が並んでいる。
理工系の大学院で修士号を取得し、電機メーカで設計開発の職を得て、その後、教育関係の会社に転職した身としては、同じ研究室で博士号を取得する先輩方は、人格的にも研究力にも優れた方が多かったため、博士号取得者をうまく扱えない企業側に非があると思っていた。
しかし、一概にはそう言い切れない部分もありそうだ。
修士号、博士号を取得する研究能力がある人間でも、コミュニケーション能力が著しく低く、社会人として会社に勤務する事に適正がない人間が、少数ではなく、一定数、いるそうだ。そういった人間は、自分の知識や能力に自信があるため、どこかで折り合いをつける、という事ができないらしい。会社に勤めても、業務や人間関係でうまくいかず、転職を繰り返し、結局、実家に引きこもってしまう事例もあるそうだ。
私も、自分が偏っていると思う所は心当たりがあるし、世の中の1割の人間とは考え方が異なるので、うまくやっていけないと、勝手に結論づけている。しかし、自分が妥協する所は妥協するし、世の中の9割の人間とは、良好な関係を築けていると感じている。
杓子定規に考えすぎず、自分の得意な事と不得意な事を棚卸しして、自分の得意な事を活かせる分野で社会と折り合いをつけていければ、引きこもらずとも、社会の一員として、何らかの役割を与えられるのではないかと、私は考えている。
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